雲南省スー族におけるVR技術の使用例 #
生まれた時からVRヘッドセットをつけたまま過ごす民族の話。タイトルがもう面白い。 真面目な語り口のおかげでそういう民族が実在するっぽい気がしてしまう。ただツッコミどころは無限にある。 病気になったらどうすんねん、とかヘッドセットつけっぱなしは痒くなるだろ、とかVRのメンテナンスとバージョンアップをどうすんねん、とか。キリがない。
いろいろ無理があるなあと思いつつも面白かった。「実はあなたたちが現実と認識してるものも仮想なのでは?」というメッセージも秀逸。無理があるけど。
スー族が体験する"点と線だけの世界"というのが"小説を読むことで認識する世界"にまるまる当てはめられるのは上手いなとも思った。
アメリカン・ブッダ #
疾病と災害でアメリカは荒廃。住民のほとんどは本体を冷凍保存し、仮想空間に逃げ込んでのんびりと快適な生活を送る。
そこに突如として仏教徒のインディアンが現れ、アメリカへの帰還を促す話。
Mアメリカの設定にイーガンのディアスポラや順列都市みを感じる。影響されてるのは間違いなさそう。柴田勝家は大学時代に新入生にイーガンを読ませていたらしいし。
仮想空間内で作った自分の子供を削除できるというのはAIに人権なさ過ぎてギョッとする。偽物の世界という表現なんだろうけども。
仏教にあまり詳しくないせいで最後のオチはポカーンとなった。調べて納得、ミラクルみろく。 それにしても56億年って実時間じゃなくて主観時間でいいのか…?56億7千万年とかいう数字は適当だろうしまあええか。
おもしろかったが、これもツッコミどころはいろいろあった。以下ツッコミ。
- 何万年も経ってるのに世界にたいして変化がなさそう
- 時間が引き延ばされた仮想世界で現実をなんとかできるのでは?
- 数年で仮想世界に行くことを選択するアメリカ人、判断が早すぎる
- ドローンで監視してるなら実世界に戻れるかもわかるのでは?
- 脳を凍結して仮想空間に接続って処理はどこで行われてるの?コピーした方が良くない?
まあ。タイトルが面白いのと、インディアンにアメリカ大陸返還、ミラクルみろくってのが面白かったので満足。