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ブレイクショットの軌跡

読みやすかったけどしんどい話が続いてつらかった。 人生ってままならないよね…にしてもその展開は過酷すぎない???って感じで、感情移入はあまりできなかった。

カズさんが1番の推しキャラだったけど早々に退場しちゃってかなしい。 人生をどこからやり直したいか問われて「思い返したらそんなところはない、俺は最初から悪だった!」と開き直って覚醒するところは最高にぶち上がったんだけどなー。 全体通して、善良であることの高貴さを説いている小説なので仕方ないか…

最後は綺麗にまとめられていた。群像劇が一つの線に繋がって収束するのは構成が上手すぎる。 あらためてプロローグを読み返すとめちゃめちゃ伏線張られまくってて感心。 いろんなミスリードのギミックを思うとこの作品はミステリだったなーと思う。社会派エンタメミステリ。

ビッグモーターとかXとか時事ネタをぶっ込みまくってて、2020年付近の時代を切り取った感が強い。面白かったけどこういうのは5年後10年後に読むと面白さが半減しそう。

特にLGBTQの主張が強くて芥川賞作品か?と思った。直木賞はエンタメに振り切ってて社会的な主張はあんまりない印象だったので…

個人的には現実社会との距離が近すぎる小説はちょっと苦手なのでうーん。

それにしてもすげードラマ化しそうな話だなと思った。読み味としては池井戸潤の社会派小説がけっこう近い。水戸黄門感(明らかに悪いやつが出てきて苦しめられるけど最終的には退治されてみんなハッピーになるやつ)はあんまないけど。

ぼくも高校生のときは池井戸潤の小説にハマってたっけ。なんか社会を知った気になれて良かったんだよなー。ちょっと背伸びしたいお年頃にジャストヒットした記憶。

例えばインサイダー取引のくだり。作中の登場人物がものすごく丁寧に説明してくれていて勉強になる。600ページ弱と分量が多いけど、そういうわかってる人は読み飛ばせる描写が多いのが読みやすい理由の一つだと思った。冗長性の高さはリーダビリティにつながる。

中高生たちはこれを読んで社会を勉強してほしい。(そうか???)