光の小説、としかいいようがない。
成瀬も、その周りの人物も善性が高く、とにかく眩しい。 本屋大賞も納得の内容だった。
読む前は表紙とそのタイトルから涼宮ハルヒみたいなオラオラ系?主人公が周囲を巻き込んで何かを達成する話だと勝手に想像していたが全然違った。
周囲の目を気にせず、自分の信念を突き通す成瀬に触れ合ううちに、周囲の人間が自然と感化されていく物語だった。
読み進めていくうちに成瀬のことがどんどん好きになっていく。そして最終章では、今まで何を考えているのかわからなかった成瀬の視点で物語が描かれることで、成瀬の思いが明らかになるというのがかなり新鮮でよかった。
高校時代、自分にも成瀬みたいな同級生がいたなあと思い出す。 自分の信念を突き通す人。いじめをみかけたら全力で仲裁しにくる。 めちゃくちゃ勉強ができて当然のように理三に進学したのも成瀬的。
また、髭を全く剃らず、仙人のように髭を伸ばしていた。 あまりにも伸びすぎているため「髭を伸ばしすぎてはならない」という校則が追加された伝説がある。この辺もかなり成瀬っぽい。 一人称は「ワシ」で、僕のことを「アンタ」と呼んでいたのもかなり変だった。 色々と個性的ですげーやつだったなあ。
ということで、この小説は自分にとっては特定の友達の思い出とリンクした特別な意味合いも持っている。
つくづくいい小説だったなあ、と思う。