鰐乗り #
「白熱光」の世界観で繰り広げられる、スケールが馬鹿でかい夫婦の惚気。
「結婚生活一万と三百九年目、リーラとジャシムは死ぬことを真剣に考え始めた」この書き出しのパンチラインよ。
人生飽きちゃった夫婦が人生を終わらせる前の最後の冒険として、バルジ内に存在する、こちら(融合世界)からの通信に一切応じない超文明<孤高世界>の調査に乗り出す。
孤高世界から漏れ出た通信を傍受するために、周辺に文明のない超田舎の宇宙空間に観測所をどうやって設立するか?というくだりが最高にハードSF。こういうところでやはりイーガンは別格だなーと思う。
そしてそれを見ず知らずのどこかの異種族が要求に応じ、超精度で成し遂げてしまうというのが、いかにも楽観的なイーガン世界観。(馬鹿でかいスケール、工学っぽい泥臭さを一切感じさせない科学の進歩、みんな友好的な文明…)
永遠の寿命を得られた人類が人生をどう完結させるか?というテーマはディアスポラと同じ。
こっちの方が短い中編だし、エッセンスを摂取できて良いかもしれない。ラストも感動的だしね。