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『ストーカー』感想

ストルガツキー兄弟の『ストーカー』を読んだ。 とにかく雰囲気が最高。 SCPみたいな謎にかっこいい名前の付いた遺物たち、それを命がけでゾーンから取ってきてお金を稼ぐストーカーたち。 退廃的で泥臭い西部劇みたいだった。

やはり来訪がただのピクニックであることが示唆される会話シーンが現実の崩壊・絶望感があって最高だったし、タイトルは『ストーカー』より原題の『路傍のピクニック』のほうが断然良いと思う。 超知性体 - 人間と人間 - 虫の絶対値で知性の差を表現しているのが本当にわかりやすいぴったりな表現。絶望的な衝撃をくらった。ぐへー。

ファーストコンタクトものは人間と対話できるものが割合多いと思うが、(そのほうが話を進めやすい)レムの『ソラリス』やワッツの『ブラインドサイト』のようにそもそも対話すら難しいファーストコンタクトのほうが最近は好み。なので今作はドストライクだった。

今作は上記の2作と違って来訪者についてわかることはほとんど何もなく、考察も本当にちょっとしたものなのが大きな違いか。 SFというよりは、災厄に巻き込まれた人間がどうしようもなくもがく様を描きたかったのかなあと推測する。

最終章でレッドが<黄金の玉>とかいうドラゴンボール的なものを取りに行くところは今までのレッドの葛藤を描いていて良かった。 やっぱり願い事は娘を人間を戻すことだったんだろうか。今までの俺の人生はいったい…ってなってるところは刺さるものがあった。